願い。











「・・・もう二度と。・・・お前の探してる刀は、お前のところには戻ってこねぇよ。」


――――――――― ・・・なッ!?」




葵は、アークの突然の発言に瞳を見開いた。
驚いて顔を上げても、目の前の男は微動にせず。ただ無表情に、淡々と言葉を発する。




「お前の住んでたっていう国も、絶対にみつからない。」

「おぬし!なんの根拠があってそのようなことを言うッ!?」




葵にとって刃物のように鋭利な言葉を吐き捨てるアークに、葵が喰ってかかる。
けれどアークはいつもの人を見下したような瞳で葵を見下ろし、口を歪ませて笑うだけだった。




「・・・根拠・・・?これ以上の根拠が何処にあるっていうんだよ・・・?」




・・・何も言い返せない。今だって望みがまたひとつ、消されたばかりだったから。




「これだけ探しても、場所はおろか名前を聞いたってヤツすら出てこない。
いくら秘境の地だって言ったって、それならそういう噂があっても可笑しくないし。
・・・そもそもお前の話からすると、そんな人目につかない程の小さい国ってワケじゃないんだろ・・・?」


「・・・・・・。」




反論出来ない代わりに、葵は思いっきりアークを睨みつけた。
誰もが畏怖し、そして魅了される・・・・・・強い意志を宿した瞳で。
それにも慣れているのか、アークは少しも怯まない。・・・それどころか、先程よりも挑戦的な視線を向ける。




「・・・なぁ、もう諦めたら?」


――――――――― ・・・うるさい。」




まるで獲物を見据える獣のように鋭い視線。
それを真っ直ぐこちらに浴びせてくる葵を、アークは綺麗だと思った。






・・・それと同時にその瞳が揺らぐことを切望する。






「・・・お前の故郷は見つからない。
・・・家族も、“紅丸”も、なにひとつお前の元には帰ってこない。」


「・・・ッ!?」


「・・・みんな。お前が持っていたものはお前の傍から消えてなくなって、二度と戻ってはこない!
お前を守ってたヤツも、お前を(はや)し立ててたヤツラも!!
・・・今はもう、誰一人お前の傍にはいないんだよ!」


「うるさいうるさいッ!・・・黙れッ!!」




・・・息が出来なかった。
いくら息苦しそうに呼吸を繰り返しても、髪を振り乱しても。

アークは追求の手を緩めてはくれない。

・・・崖っぷちに立たされている葵を、更に淵へ淵へと追い詰める。
もう数歩後退れば堕ちてしまえるくらい、ギリギリのところまで。




「・・・自分でも言ってたよな・・・?お前は星の娘じゃないって。」


「・・・・・・。」




アークが何を言おうとしているのか。なんとなく、予想がついて押し黙る。
・・・付き合いは短くないから。
時間的に考えれば、人には短いと言われるかもしれない。
けれど、彼は自分の物語に出てくる・・・ただの通行人なんかでは、決してなかったハズで・・・




「星の娘の選定が終わればこの国にとって、お前はいらない人間になる!
プルート様もソロイ様もお前をすぐに切り捨てるし、
“力”を失ったままのお前は、魔法院にとっても用済みだ。
騎士院だって、星の娘候補じゃないお前なんかいらないんだよッ!!」


―――――――――――――― ッッ!!」




瞳を背けたい可能性を、嫌が応でも見せ付けられて。
・・・不特定多数の誰かがそう言ったのなら、戯言だと言えたのに。けれどそうではなくて。
他でもないアークの一言だから・・・イタイ、ココロニツキササル。


ショックを隠しきれない葵を見て、アークの顔からさっきまでの剣幕が失せる。
その瞳は愛しげに、けれど何処か不安そうに葵を見つめていて・・・
きっと本人も、自分がそんな表情をしていることに気付いてはいないだろう。


・・・俯いて、アークの顔を見ていない葵も。




――――――――――― ・・・俺だけだ。」


「・・・・・・?」




話が読めない、繋がらない。
ポツリと呟かれた理解不能の言葉に、葵が顔を上げた。




「これから先、ずっと・・・・・・お前の傍にいてやれるのは、俺だけなんだよ。
・・・・・・俺一人だけなんだよ・・・」




さっきとは違う感情の籠もった視線に、葵は戸惑いを覚える。
さっきまで彼の言葉に傷ついていたのは確かなのに。気遣わしげに、彼の名前を呼ぶ。




「アー・・・ク?」




葵が名前を呼ぶと、途端アークの顔が歪められて・・・。
それはさっきとは違って、寧ろギリギリのところまで追い詰められているのは彼の方だ。
・・・そんな、印象を受けた。




―――――――――― ・・・なぁ?だからもう、諦めろよ・・・?
刀を探すことも故郷を探すことも。
―――――― ・・・帰ろうとすることも。」




捨てられた子供のよう寂しげで、何かを強く強く願う瞳。
ここで置いていかれたらもう後がないとでも言うように、葵を見つめる。


・・・彼の綺麗な緑色の双眸に、葵が映し出されていた。




「・・・なぁ!?俺だけ・・・なんだぜ?お前の傍にいてやれるのは。
・・・何も探すなよ、何処にも行くなよ、帰るのは諦めろよッッ!
・・・お前には俺しかいないんだから!・・・俺しか残ってないんだから!!
――――――――――― ・・・もっと、俺に縋れよ・・・」


「・・・・・・アーク。」




アークの手が葵の肩を強く握り。
葵のものとは違う色をしたアークの髪が、葵の頬を撫でる。
普段は見上げる高さのアークの頭が、葵の顔のすぐ横にある。



―――――――――― ・・・わかった。わかってしまった。



見えなくなる直前の、彼の瞳を見てしまったその時に。
・・・彼が葵に、何を願っているのかが。






――――――――――― ・・・けれどわかってしまったら・・・






「・・・泣いて頼めよ!お願いだから傍にいてください、って!!」


「アーク。」






わかって・・・しまったら・・・






―――――――――― ・・・頼むよ・・・。諦めて、くれよ・・・」






わかってしまったら、彼の願いを知ってしまったら。
・・・二度と帰れなくなる。捕らえられてしまう。






「・・・アーク・・・私は・・・」





















戯言。

アイタタタタッッ!?なんなんですかこの話!?キツッ!?
途中笑いそうになりながら打ってたんですが、いつの間にか半分眠りながら打ってましたよ(笑)

多分パソコンのカタカタって音と、イメージの為の曲1リピートのせいで。
やっぱ自分、トランス状態になりやすいんだ・・・(阿呆)

もう色々と笑っちゃうね!あはっはーーー!!(壊れた)
誰か、任那の頭の中どうにかしてください。なに打ってたかもう覚えてないし。
(注:本文書き終わってすぐにこれ書いてます。)

ともかく!なにがどうなってこんなん話になったかは知りませんが(知らないのかよ)
実際にこんなヤツいたら、任那殴ってますね!!(爽)

ヤ、ヤバ・・・きっと勉強のし過ぎだよ・・・もっと遊ばないと・・・ッ!!
(そんなにしてないし)


・・・ハイ。↑から数日後、読み返してきました。
・・・アレ、アークじゃないよ・・・・(泣)
なんか妙な人になってる。なんちゅーもん書いたんだ、自分は・・・(汗)

ちなみに。SSじゃなくてページのタイトルは深読みして下さっても結構です。(苦笑)




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